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- 12年05月07日
- 特許権侵害事件の特殊性
1.特許権を取得した後にたび々起こる問題は、模造品が市場に出てくることです。
どのように対処致しますか?
一般にこのような模造品が出てくることを特許侵害と言っています。
2.通常は侵害を中止するように警告文を内容証明郵便で送ります。
だいたい、警告文に素直に従う相手はあまりいません。
もっとも多い返信は「警告のような特許侵害にはなりません」又は「あなたの特許権はすでに出願前から知られた技術であり無効のものです」というものです。
3.では、その後の手の打ち方は?
裁判をするしかありません。裁判所に訴訟を提起(特許訴訟)して特許侵害(模造品の製造又は販売)を中止する判決文を貰うしかありません。
もっとも、裁判の途中で双方話し合いの上、又は裁判所の周旋で和解をするという手もあります。
4.特許訴訟をする場合は、「管轄」というものがあって、自分の好きな場所の裁判所で特許訴訟をするという訳にはいきません。
東京地方裁判所と大阪地方裁判所の二つの裁判所でしか特許訴訟をすることができません。
東京、大阪以外の地域にいる人々にはとても不便です。
これは東京と大阪の裁判所には、特許訴訟を専門的に取扱う裁判の部署があるため特許侵害訴訟のように専門性のある、特に技術にかかわる争いは東京とか大阪の裁判所でなければならないとしたものです。
5.訴訟を提起すると必ず準備手続という経過の中で争点の整理や原告、被告の主張書面を提出します。すぐに法廷での争いにはなりません。
この準備手続とは予め法廷以外の裁判所内の部屋で原告、被告が互いに自分の主張をし合うようにした手続です。
特に、特許訴訟の場合は、技術説明会が準備手続の中で行われる場合が多いようです。特許技術の内容と侵害した製品の技術について原告、被告から技術説明をさせて裁判官に正確な技術の理解をさせるものです。
6.このように、特許訴訟は技術に関する争いであるところに特殊性を有しています。
そして、まずは特許権の権利の範囲、言い換えれば特許技術のボーダーラインを確定することから始まります。
そういう意味でまずは特許権を取得する時にしっかりした権利をつくることが重要になります。そこに弁理士の責務があります。
私共も、いい特許を取得するために努力し、反省し、更なる飛躍を目指している毎日です。
- 12年03月26日
- 特許出願をすることの効用、効果
1.特許出願とは?
開発をした場合に開発者(会社)のとるべき道は2つあります。
A.まずなにが何でも特許権をとって他人の模倣を抑制し、経済的利益を確保すること。
B.特許出願も何もしないで、世の中に模倣品も含めた自分の開発品があふれて世の人々が感謝することに生きがいを感じること。
このA案、B案どちらを皆さんはとりますか?
2.一般に開発費用をかけて試行錯誤しながらやっとの思いで開発した技術だとの思いがあれば、通常A案でしょう。当然のことです。
しかし、このような知的産物は他人に実施許諾もできるわけですから、市場のニーズにあったマーケットコントロール(量、値段、品質、エリア等)ができます。
つまり、A案の方が高品質の製品をニーズに合わせて世の中に普及できると考えられています。
仮に、B案ですと玉石混淆の新製品が世にあふれて値段競争となり機能も上がらず、ついには消費者に顔を背けられることになります。
正しい流通秩序で品質、値段の管理された製品こそ消費者に喜ばれて普及するものです。
3.特許出願をすることは開発者にこのような社会的使命を全うする機会をつくることでもあります。
開発をしたらまずは専門家の弁理士にご相談されて、開発技術の価値評価も含めて特許出願の是否を検討されることをお勧めします。
- 12年01月14日
- 商標権によるブランド保護
ブランド、すなわち商標とは、長年使えば使う程、ブランドに信用が蓄積して商品を買って試さなくても品質を信頼できます。
そうすると、そのブランドをちょっと借用して勝手に使わせて貰う人は、何の苦労もなく「他人の長年かかった信用」を利用できます。即ち、そのブランドを使うだけで商品が売れていきます。これを防ぐには、商標権を予め取っておく必要があります。
商標権を取るには出願という手続が要ります。その前に、そのブランドが先に登録されていないか否かの調査をします。
調査の結果、先登録があってもすぐに諦める必要はありません。登録された商標でも3年以上使用されていないと取り消して自分が改めて商標登録できます。これを不使用取消審判と言います。
不幸にも、先登録があり、現実に使用もされていますと、上記の取消もできません。
その時は、その商標を「もじって」下さい。商標のイメージは壊さないで、別の「似て非なる」商標にすればよいのです。
「もじった」商標の例として、『ガーラ』がダメなら『エルガーラ』(エルはLに通じ、Largeの頭文字として大きなイメージで)とする。
『キューブ』がダメなら『インキューブ』(インはinに通じ、客の入りをイメージ)とする。
いかがでしょうか?
皆様がブランドの商標登録をお考えになる時の参考になれば幸いです。
- 11年08月22日
- 意匠の威力
1.意匠とは、デザイン(物の形や模様など)のことです。
特許権と同様にデザインについて意匠権という知的財産権が取れます。
2.しかし、デザインでも特に「美感」を感じるようなものでなければ特許庁では意匠権を認めていません。
問題は「美感」とは?
現在の意匠における「美感」とは、従来にない変わった形や模様をした物品について美感ありとしているようです。
3.特に、工業デザイン(industrial design)と言われる工業製品については、見た目で「美感」とは言わないような形です。
トラクタの全体形状、コンクリートブロックの形状、お菓子の形状、建設用の各種金具など。
4.このように、物の外形に変更を施した時には、意匠権の対象になるかどうか検討してみる必要があります。変更した形状で意匠権が取れます。
現在の意匠登録の可能性は80%以上あると思われて結構です(弊所取扱いの実績)。
5.意匠で特に気をつけたいことは、いわゆる形状や模様のモチーフのみを単独で意匠登録できないことです。 必ず「物品」としての形や模様です。
従いまして、出願をする時には、必ず物品の名称(例えばトラクタ、排水用ブロック、お菓子、足場緊締用金具など)を特定して願書に記載することになっています。
ぜひ意匠権をとる戦略を立ててください。
少々の形状変更は意匠権の範囲に含まれますから、権利としての威力は充分にあります。
- 11年06月07日
- 特許出願の減少について
この数年の間に日本国特許庁への出願の激減は、ついに日本を世界出願トップから3位にまで格下げしました。米国、中国に後れをとっています。
当初リーマンショック以降の世界経済の低速が原因かと考えられていましたが、外国では米国も中国も特許出願件数は微増していますからどうも日本固有の原因かと考えられるようになりました。
特許庁もこの異常な現象に気が付きやっと対策を考えてきました。最も出願件数に貢献すると考えたのは「審査請求料」の値下げでした。確かに出願抑制の切札として登場した大幅な審査請求料の値上げ(約倍の値上)は、それなりの成果をあげてはきましたが、此度の出願件数増加の救世主にはなるかどうかは疑問です。どうせ出願件数を回復するための値下げをするのであれば半額にすべきです。なぜなら、倍にしたものは半額にして初めて元に戻るかもしれないのです。
行政政策としては何ともピリッとしない方策です。もっともこれだけで出願件数の回復が可能かと言えば、そんな単純な理由だけではないのです。
もっと奥の深い日本国の特許事情が潜んでいると思われます。この問題は将来の日本の産業政策や世界における日本の国力、競争力に係る基本的で重要な問題をはらんでいます。
次回はこの問題について述べてみたいと思います。
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